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【金継ぎ講座第6回】仕上げ ~金粉の蒔き方と完成後のお手入れ~

【金継ぎ講座第6回】仕上げ ~金粉の蒔き方と完成後のお手入れ~
Sho Takeshita

この記事を書いた人

Sho Takeshita 金継ぎ師

日本の東京都出身、立教大学卒業。祖母から受け継いだ茶碗が割れたことをきっかけに金継ぎの道へ。壊れたものを新しい美しさへと昇華させる哲学に感銘を受け、東京にある金継ぎ工房で技法を習得。現在は金継ぎを軸に、日本古来の美意識と現代的な感性を掛け合わせた作品を制作している。

金継ぎのやり方を6回に分けて解説する「ANYTSUGI金継ぎ講座」。最終回は漆の上に金粉を蒔き、美しい線を描く仕上げの工程を扱います。

修復してきた割れ目が黄金の線に変わる、金継ぎの工程のなかでも一番楽しい工程です。完成まであと少し、楽しみながら進めましょう!

▼金継ぎ講座の過去回

[第1回:金継ぎを始める準備]

[第2回:ヒビの補修方法]

[第3回:ワレの接着]

[第4回:カケや凹凸の埋め]

[第5回:中塗り]

Step 1:黒漆を水研ぎして艶を消す

金粉を蒔く前に、まず中塗りで塗った黒漆の表面を研ぎます。

黒漆の表面がピカピカと光っている状態では、次に塗る弁柄漆が密着しにくくなります。マットな状態にすることで、弁柄漆がしっかりのります。

手順1:耐水ペーパーを2cm角に切り三つ折りにして、水に浸す

手順2:黒漆の表面を艶が消えてマットになるまでやさしく研ぐ

黒漆の水研ぎ

黒漆の表面を磨くと、艶が消えてマットになります。

※ 耐水ペーパーが器の表面に当たると絵柄を傷つけることがあるので注意しましょう。

手順3:汚れや水分はティッシュで拭き取る

水研ぎしてマットになった黒漆

研いでも黒漆がマットにならない部分は、表面が凹んでいるサインです。もう一度[第5回]の中塗りをやり直してから進むことでより美しい仕上がりになります。

Step 2:弁柄漆を作る

仕上げには「弁柄漆(べんがらうるし)」を使います。生漆を黒変させてから弁柄粉を混ぜ合わせて作ります。作り方の流れは第5回の黒漆と同じで、粉の種類が弁柄粉に変わるだけです。

手順1:パレットに生漆を直径2cm程度の量出す

まずは生漆をパレットに出しましょう。量は直径2cmくらいを目安にしてください。

手順2:ヘラで生漆を薄く伸ばすように広げ、空気にさらし続ける

パレットに出した生漆を、ゴムヘラで薄く広げるように伸ばし続けます

「横方向にヘラを動かして薄く伸ばす」と「縦方向にヘラを動かして薄く伸ばす」を交互に繰り返すことで、生漆のさまざまな面が空気に触れるようになります。

手順3:3分ほど伸ばし続けると、生漆が黒く変色してくる

3分ほど生漆を伸ばし続けると、生漆が焦げ茶色~黒色に変色してきます。

写真のような色になるまで伸ばし続けてください。

手順4:黒く変色した生漆よりひと回り少ない量の弁柄粉をパレットに出す

次に、生漆よりもひと回り少ない量の「弁柄粉」をパレットに出します。

手順5:ヘラで粒感がなくなるまで押しつぶすように練り混ぜる

生漆と弁柄粉をゴムヘラを使って練り混ぜます。弁柄粉は粒をゴムヘラのしなりを使って押しつぶすように練り、粒感がなくなるまで続けましょう。

ゴムヘラから垂らしたとき、ゆっくりと落ちる硬さになれば「弁柄漆」の完成です。ポタポタと水のように落ちてしまう場合は柔らかすぎるので、弁柄粉を少し加えて調整しましょう。

Step 3:弁柄漆を薄く塗る

弁柄漆は限りなく薄く塗ります。厚くなると金粉がムラになり、硬化後のシワにもつながります。

手順1:筆に弁柄漆を少量つけ、中塗りした継ぎ目の上に薄く塗り重ねる

一筆書きで塗り切る必要はないので、塗り残しなく、はみ出しなく塗るようにしましょう。

手順2:漆風呂に入れて約30分置く

金粉を蒔くタイミングは弁柄漆が半乾きのときです。完全に乾いてからでは金粉がつかなくなるので、迷ったら早めに次へ進みましょう。

Step 4:金粉を蒔く

いよいよ金粉を蒔く工程です。金粉は非常に軽く、少しの空気の流れでも飛んでしまいます。作業前に窓を閉め、換気扇も止めておきましょう。

手順1:金粉の包み紙を開き、飛ばないよう重しをのせておく

手順2:真綿を小さくまとめ、金粉をたっぷりとつける

真綿は小さくひとまとめにして使います。

真綿に金粉をたっぷり付けます。

手順3:真綿を継ぎ目の上で小さな円を描くようにやさしく動かして金粉を蒔く

真綿「本体」が直接漆に触れてしまうと、漆が真綿に絡まって表面が荒れてしまいます。真綿の表面についた金粉だけが弁柄漆に触れるイメージで動かしてください。

ひと通り蒔いたら、より大きな円を描くように動かして隙間なく仕上げます。

手順4:真綿で継ぎ目の上をくるくると動かして、やさしく磨く

継ぎ目の金粉は、やさしく磨くことで光沢が出てきます。

すべての継ぎ目に金粉を蒔き終えたら完了です。

手順5:真綿と器の表面に残った余分な金粉を包み紙に戻す

真綿についた金粉と、器に残った金粉はなるべく包み紙に戻します(もったいないので必ず回収しましょう)。

手順6:漆風呂で1日以上硬化させたら完成です

完成後:余った金粉と表面の仕上げ

硬化が完了したら、表面に残った余分な金粉をノンアルコールのウェットティッシュでやさしく拭き取ります。

アルコール入りのウェットティッシュやエタノールは使わないでください。金粉が剥がれてしまうことがあります。

継いだ器とこれからの付き合い方

これで金継ぎのすべての工程が完了です!

漆で破片をひとつひとつ貼り合わせ、刻苧を盛り、中塗りを重ねて——長い時間をかけて仕上がった器はもとの器とは違う表情を持っています。

あなたが継いだ金の線は、これからもその器の一部として残り続けます。大切に、長く使ってください。

【金継ぎした器の取り扱い】

  • 中性洗剤と柔らかいスポンジで手洗いしてください
  • 研磨剤入りのスポンジやたわしの使用は避けてください
  • 長時間水に浸したままにしないでください
  • 電子レンジで使用しないでください
  • 食洗機は使用しないでください
  • オーブンや直火での使用はしないでください

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