金継ぎのやり方を6回に分けて解説するシリーズ「ANYTSUGI金継ぎ講座」の第2回です。今回はヒビの補修を扱います。
ヒビの補修は、金継ぎの全工程の中でもシンプルな作業です。生漆をヒビに染み込ませて硬化させるだけで、表面を強化し水漏れを止めることができます。生漆の染み込ませ方・硬化後の水漏れ確認をこの記事で順に解説します。
道具や材料の準備ができていない方は[第1回:金継ぎを始める準備 ]を先にご覧ください。
ヒビは直さないといけない?
結論からいうと、ヒビの補修は必須ではありません。 小さなヒビがあっても食器を使用するうえで支障がないレベルであれば補修しなくても大丈夫です。
ただし、補修しておいたほうがよいケースがあります。
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水を入れるとじわっと滲んでくる
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ヒビが長く、力を加えると割れそうな気がする
力を加えると割れそうな深いヒビは、思い切って割ってしまいましょう。 そのほうが「ワレ」として正しく接着でき、最終的な仕上がりもきれいになります。ワレの修復は[第3回]で解説します。
割る際には、器を布や紙で包み、手を切らないように安全に配慮して行ってください。割れそうにないヒビや表面だけの浅いヒビは、以下の手順で補修します。
Step 1:生漆をヒビに染み込ませる
ヒビの補修には「生漆(きうるし)」を直接ヒビに浸透させる方法を使います。生漆は硬化することで接着剤のような役割を果たし、ヒビを内側から補強してくれます。
使う道具・材料:生漆・筆・パレット・エタノール・ティッシュペーパー
※漆を使用するため、作業中は必ずニトリル手袋を着用してください。
手順1:パレットに生漆を少量出す

ヒビの補修に使用する生漆はごくわずか。写真の生漆でも多いくらいです。
手順2:筆でヒビの両側から生漆を塗る

筆に生漆をつけ、ヒビに染み込ませていきます。
私は内側から順番に塗ることが多いです。外側から塗ってしまうと、内側を塗るために器を持った際、生漆が手についてしまう恐れがあるからです。

ヒビに生漆が染み込めば、生漆の茶色い線が浮かび上がってきます。
なお、片側にしかヒビが現れていない(貫通しきっていないヒビ)の場合は、片側からのみ生漆を流し込めば問題ありません。
手順3:ヒビを開くように力を加えて、生漆を溝に染み込ませる

ヒビの奥深くまで生漆を流し入れるため、ヒビを両側から開くように力を加えます。割れない程度に思い切って力を加えてください。
ヒビを閉じた状態のままでは漆が奥まで届かないため、わずかに広げて浸透させるようにしましょう。
手順4:15~30分ほど置いたら、表面に残った生漆をエタノールで拭き取る


手順5:漆風呂に入れて1週間ほど硬化させる

漆風呂とは、ダンボール箱(もしくはタッパーなど)と濡れタオルで作る簡易的な湿度管理ボックス。
作り方は簡単です。修復している器が余裕を持って入るサイズの、ダンボールやプラスチック容器を準備して、固く絞った濡れタオルを入れるだけ。ダンボールを使用する場合は防水のためビニール袋などを底に敷いてください。
ヒビの補修をおこなったあとは、器を漆風呂に入れて約1週間硬化させます。
漆が硬化する環境は、気温20〜25°C・湿度65〜80%が適切といわれています。日本の冬だと温度が下がりすぎてしまうこともあるので、なるべく温かいところで保管しましょう。
Step 2:水漏れを確認する
漆風呂で硬化させたら水漏れチェックをしましょう。器に水を注いで、ヒビのあった部分から水が滲んでこないか確認します。
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滲みがなければOK。次のステップへ進みましょう
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滲んでくる場合は、再度生漆をヒビに流し込んで漆風呂で硬化させてください
Step 3:道具を片付ける
使用した道具の片付け方を解説します。
筆の掃除方法


1. パレットに油を出し、筆をよく洗う
2. ティッシュで油を拭き取る
3. 漆の色がつかなくなるまで1〜2を繰り返す
4. きれいな油を含ませてキャップをつけて保管
パレットの掃除方法

2. エタノールを含んだティッシュで仕上げ拭き
ヒビの補修後に進む工程:ワレやカケがある場合と、ヒビのみの場合
ヒビの補修が完了したら、次の工程へ進みましょう。
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状況 |
次に読む記事 |
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ワレ・カケはない |
第5回:中塗り |
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ワレ・カケがある |
ワレとカケの両方がある場合はワレから処理します。
次回の金継ぎ講座では「ワレの接着」について詳しく解説予定です。ヒビよりも工程が長くなりますが、よりやりがいが出てくる作業です。
麦漆の配合がポイントになってくるので、次回も頑張っていきましょう!















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