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【金継ぎ講座第5回】中塗り ~金粉がムラなく密着できる下地作り~

【金継ぎ講座第5回】中塗り ~金粉がムラなく密着できる下地作り~
Sho Takeshita

この記事を書いた人

Sho Takeshita 金継ぎ師

日本の東京都出身、立教大学卒業。祖母から受け継いだ茶碗が割れたことをきっかけに金継ぎの道へ。壊れたものを新しい美しさへと昇華させる哲学に感銘を受け、東京にある金継ぎ工房で技法を習得。現在は金継ぎを軸に、日本古来の美意識と現代的な感性を掛け合わせた作品を制作している。

金継ぎの手法を6回に分けて解説するANYTSUGI金継ぎ講座。第5回の今回は「中塗り」——金粉が均一に密着するための下地作りです。

小さな凹凸を埋めた錆漆の表面を研ぎ、黒漆を塗り重ね、研ぎ→塗り→硬化のサイクルを2〜3回繰り返します。この工程の丁寧さが、最終的な金の線の美しさに直結しますよ!

▼金継ぎ講座の過去回

[第1回:金継ぎを始める準備]

[第2回:ヒビの補修方法]

[第3回:ワレの接着]

[第4回:カケや凹凸の埋め]

中塗りはなぜ必要?

中塗り

カケを埋めた錆漆の表面には、目には見えにくい微細な凹凸が残っています。中塗りでその表面を研ぎ、漆を塗り重ねることで、最終工程で蒔く金粉がムラなく密着できる下地を作ります。

Step 1:錆漆を水研ぎする

使う材料・道具:耐水ペーパー(#600〜#800)・水・水を入れる容器・ティッシュペーパー

まずは、硬化した錆漆の表面を耐水ペーパーで研ぎます。

手順1:2cm角ほどに切った耐水ペーパーを三つ折りにして水に浸す

耐水ペーパを水につける

耐水ペーパーを2cm×2cmほどの正方形にカットしましょう。

切った耐水ペーパーは三つ折りにし、水に浸して錆漆を磨いていきます。

手順2:錆漆の表面を滑らかになるまでやさしく研ぐ

錆漆を水研ぎする

錆漆の上を濡らした耐水ペーパーで磨いていきます。錆漆の表面が滑らかになるまでやさしく研ぎましょう。

※ 耐水ペーパーが器の表面に当たると絵柄を傷つけることがあります。なるべく錆漆の上だけを研ぐようにしてください。

手順3:出た汚れや水分は適宜ティッシュで拭き取る

水研ぎの汚れをティッシュペーパーで拭き取る

耐水ペーパーで磨くと、漆を削った汚れが出てきます。汚れはティッシュペーパーで拭き取りましょう。研いだ後に手を当ててみて、ツルツルしていればOKです。

Step 2:黒漆を作る

使う材料・道具:パレット・生漆・黒粉・ゴムヘラ・匙

中塗りに使う「黒漆(くろうるし)」は、生漆を空気にさらして黒く変色させてから、黒粉(酸化鉄から作った顔料)を混ぜ合わせて作ります。

少し意外かもしれませんが、漆は空気にさらすと黒くなります。漆に含まれる酵素が酸素と反応する化学変化です。この反応が、漆を硬化させる力にもなっています。

手順1:パレットに生漆を直径2cm程度の量出す

生漆をパレットに出す

まずは生漆をパレットに出しましょう。量は直径2cmくらいを目安にしてください。

手順2:ヘラで生漆を薄く伸ばすように広げ、空気にさらし続ける

生漆をヘラで薄く広げ、空気にさらし続ける

パレットに出した生漆を、ゴムヘラで薄く広げるように伸ばし続けます。

「横方向にヘラを動かして薄く伸ばす」と「縦方向にヘラを動かして薄く伸ばす」を交互に繰り返すことで、生漆のさまざまな面が空気に触れるようになります。

手順3:3分ほど伸ばし続けると、生漆が黒く変色してくる

生漆を空気に触れさせ続けると黒く変色してくる

3分ほど生漆を伸ばし続けると、生漆が焦げ茶色~黒色に変色してきます。

写真のような色になるまで伸ばし続けてください。

手順4:黒く変色した生漆よりひと回り少ない量の黒粉をパレットに出す

黒粉をパレットに出す

次に、生漆よりもひと回り少ない量の黒粉をパレットに出します。

手順5:ヘラで粒感がなくなるまで押しつぶすように練り混ぜる

ヘラでよく練り混ぜる

生漆と黒粉をゴムヘラを使って練り混ぜます。黒粉は粒をゴムヘラのしなりを使って押しつぶすように練り、粒感がなくなるまで続けましょう。

ゴムヘラから垂らしたとき、ゆっくりと落ちる硬さが完成の目安です。ポタポタと水のように落ちてしまう場合は柔らかすぎるので、黒粉を少し加えて調整しましょう。

ヘラからポタポタ滴り落ちるくらいになれば完成

Step 3:黒漆を塗る

使う材料・道具:パレット・黒漆・

継ぎ目に黒漆を塗っていきます。

手順1:筆に黒漆を少量つける

黒漆を筆につける

手順2:研いだ錆漆の上に黒漆を薄く塗る

錆漆の上に黒漆を薄く塗る

塗り残しがないよう丁寧に。ただし一度に厚く塗りすぎないようにしましょう。

中塗りで塗った線が最終的に金で輝く線になります。ここを丁寧にしておくと、仕上がりが格段に変わりますよ。

美しい線を引くポイント:割れ目に沿うように筆を入れ、腕全体を引くように動かす。指先ではなく肘から先を全体的に動かす感覚です。

筆の動かし方のコツ

避けるべき筆使い:割れ目に対して垂直から筆を当て、指先だけで動かす。これだとガタガタした太い線になりやすいです。

最初はほぼ全員、指先だけで動かしてしまいます。この感覚は言葉で伝えにくいのですが、何回か練習すると急につかめてきます。焦らず繰り返してみてください。

手順3:漆風呂に入れて約1日硬化させる

漆風呂

次の工程では、黒漆の表面を耐水ペーパーで磨いていきます(水研ぎ)。

「黒漆を塗る→硬化→水研ぎ」のサイクルを2~3回繰り返すと表面がどんどん滑らかになっていき、金を蒔いたときの仕上がりがより美しくなります

なお、時間に余裕がない人は1回だけでも問題ありません。

中塗りが完了したら第6回の仕上げ・金粉蒔きへ進む

中塗りが完了し表面がしっかり平滑になったら、いよいよ金を蒔く最終工程へ進みます。

→ 第6回:仕上げ・金粉を蒔くへ進む

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